アデノウイルス製剤の開発 : REIC

  REIC(Reduced Expression in Immortalized Cells)は、岡山大学で発見され、
 がん抑制遺伝子としての機能、ならびに がん治療における役割が岡山大学で
 解明され、注目されているがん治療遺伝子のひとつです。

  細胞のがん化の原因は、がん遺伝子やがん抑制遺伝子など複数の遺伝子の
 異常です。REICは、岡山大学名誉教授の難波正義先生(現 新見公立短期大
 学 学長)と辻俊也先生が細胞の不死化の研究において、不死化細胞で発現が
 減弱(Reduced Expression in Immortalized Cells)する遺伝子を発見し、その
 頭文字からREICと命名されました。REIC蛋白(たんぱく)のアミノ酸の配列は、
 アフリカツメガエルで胎生期の頭部形成に重要な因子となるDickkopfs(Dkks)
 ファミリー(Dkk-1-4)のDkk-3に一致して
 います。難波先生は、REICが、がん
 化と関連するシグナルの伝達やがん
 細胞の増殖を抑えることを解明され
 ました。

  2005年には、前立腺がんでの実験に
 おいて、アデノウイルスをベクターとして
 REIC遺伝子を強制発現させると、がん
 細胞選択的に細胞死(アポトーシス)が
 誘導されることが実証されました。REIC
 遺伝子の異常は、ヒトの前立腺癌では
 ほぼ100%に、近年社会問題化してい
 る悪性中皮腫を含む多くのがんでも高
 率に認められ、がんをターゲットとする
 遺伝子治療として幅広い運用が可能
 です。この遺伝子を細胞に導入すると、
 正常細胞には影響がなく、がん細胞
 だけを選択的にアポトーシスに導き
 ます。
 

  現在までの研究の進捗により、これらの抗腫瘍効果のメカニズムの概要が
 解明されています。

  まず、がん細胞の選択的細胞死のメカニズムは、REICを腫瘍内に局所投与
 し強制発現させることで、REIC の発現が抑制されているがん細胞が小胞体
 ストレスに起因するがん細胞選択的細胞死を起こすためであることが、前立
 腺がん細胞と悪性中皮腫同所性マウスモデルで解明されました(Cancer Res.
 2005; 65:9617, Cancer Res. 2008; 68:8333)。この小胞体ストレスによるが
 ん細胞選択的細胞死は、REIC 遺伝子の全長だけでなく、その1〜78 アミノ
 酸残基をコードする遺伝子断片でも誘導され、ヒトの前立腺がん皮下腫瘍
 モデル系でREIC 断片と新規キャリアである生分解性ポリマー(日東電工)に
 よる治療効果が実証されています(BBRC 2008; 614)。

  また、抗がん免疫の活性化メカニズムについては、精製したREIC タンパク
 質での実験で、同タンパク質が抗がん活性を有し、樹状細胞様細胞を誘導
 することで、がん細胞を攻撃する細胞障害性T細胞(CTL)が増強される(Int’l
 J. Oncol. 2009; 657) と共に、アデノREICの局所腫瘍内投与により腫瘍組
 織内間質細胞などからのIL-7の産生によるナチュラルキラー細胞(J. Biol.
 Chem. 2009; 14236) の活性化が、CTL では攻撃できないがん細胞を殺傷
 する「二重の効果」によるものであることが解明されました。
 

  私達は、まず実現可能性と臨床応用性を確立し得る先行モデルとして、「前立腺
 腺がんに対するREIC遺伝子発現アデノウイルスベクターによる遺伝子治療臨床
 試験」を早期に実現し、併せて中皮腫に対する研究開発を推進し、内外の製薬
 企業との連携を図っていきたいと考えています。



 
国際共同臨床研究支援 : IL−12

  桃太郎源社は、IL-12(インターロイキン12)のアデノウィルス製剤に関し、米テキ
 サス ベイラー医科大が製造したマスターウィルスバンクを保有しており、難治性
 固形がんに対する免疫遺伝子治療の国際共同臨床研究を支援していきます。
 インターロイキンは白血球によって分泌され、細胞間のコミュニケーションの機能を
 果たすサイトカインのことで、IL-12はNK細胞の活性化、Th1細胞、CTLの誘導など
 強力な癌免疫賦活化能を有しています。

  2008年に開始予定である IL-12の「前立腺癌」に関する国際共同臨床研究を支
 援してまいります。この国際共同臨床研究では、IL12の免疫遺伝子治療における
 位置付けを科学的に明確化すること、免疫学的効果に関するサロゲートマーカー
 を探索し、今後のがん治療への応用性を検討します。
 


 
 
特 許 一 覧 (平成28年5月現在)

 【基本特許】 細胞増殖抑制タンパク質、ポリヌクレオチドおよび
  該ポリヌクレオチドに対するアンチセンスポリヌクレオチド、並びに
  それらを用いる細胞増殖抑制剤、癌診断薬、癌治療薬、および
  遺伝子治療用組成物

   出 願 人  : 公文裕巳 (当社が独占的実施許諾権を所有)
   公開番号 : WO 01/38528
   国内特許 : 特許第3813872号(登録)・特許第4509018号(登録)
   国際特許 : 欧州 EP1234877 (登録)・米国 9243048(登録)
 前立腺癌細胞のアポトーシス誘発剤
   出 願 人  : 公文裕巳、許南浩、阪口政清、那須保友
            (当社が独占的実施許諾権を所有)
   公開番号 : WO 2006/098074
   国内特許 : 特許第4838236号(登録)
   国際特許 : 米国に出願

 REIC/Dkk-3遺伝子の部分断片及び該断片を含むがん治療薬
   出 願 人  : 公文裕巳、許南浩、阪口政清、那須保友
            アバルズア カベサス フェルナンド ギゲルモ
            (当社が独占的実施許諾権を所有)
   公開番号 : WO 2008/050898
   国内特許 : 特許第5356823号(登録)、特許5662534号(分割)
   国際特許 : 米国 8,618,273(登録)・中国 ZL200780043463.4(登録)
            欧州 2090654(登録),インドに出願

 抗癌剤耐性癌において抗癌剤増強作用を有する癌細胞死誘導剤
   出 願 人  : 《日本のみ》岡山大学、桃太郎源
            《日本以外》桃太郎源  *米国のみ発明者
   公開番号 : WO 2009/060982
   国内特許 : 特許第5279235号(登録)
   国際特許 : 中国 ZL200880122369.2(登録)・米国 8,946,173(登録),
            欧州に出願

 単球から樹状細胞様分化を誘導し、抗癌免疫活性を高める癌の治療
 又は予防のための医薬組成物

   出 願 人  : 《日本のみ》岡山大学
            《日本以外》桃太郎源  *米国のみ発明者
   公開番号 : WO 2009/119874
   国内特許 : 特願2010-505881
   国際特許 : 米国 8,614,093(登録)・シンガポール 165046(登録)
            中国 ZL200980116783.7(登録)・欧州 2275114(登録)
            オーストラリア 2009229756(登録),インド・韓国に出願

 新規悪性中皮腫治療剤及び免疫賦活化剤
   出 願 人  : 岡山大学、桃太郎源  *米国のみ発明者
   公開番号 : WO 2010/013846
   国内特許 : 特願2010-522773(特許査定通知)
            特願2014-106448(分割出願)
   国際特許 : 中国 ZL200980136054.8(登録)・米国 8,658,612(登録),
            欧州・インドに出願

 遺伝子発現を上昇させるシステム及び該システムを保持したベクター
   出 願 人  : 岡山大学、桃太郎源  *米国のみ発明者
   公開番号 :  WO 2011/062298
   国内特許 : 特許第5697042号(登録)
   国際特許 : シンガポール 180394(登録)・欧州2508603(登録)
            中国 ZL201080061897.9(登録)・ロシア2577971(登録)
            オーストラリア 2010322723(登録),米国・インド・イスラエル
            韓国・カナダに出願

 REIC/Dkk-3タンパク質の部分領域ポリペプチド
   出 願 人  : 岡山大学、桃太郎源  *米国のみ発明者
   公開番号 : WO 2012/002582
   国内特許 : 特願2012-522733
   国際特許 : 中国 ZL201180041601.1(登録),米国・欧州に出願

 REIC発現アデノウイルスベクター
   出 願 人  : 岡山大学、桃太郎源
   公開番号 : WO 2012/161352
   国内特許 : 特願2013-516479
   国際特許 : 米国 9222107(登録),欧州・中国・台湾に出願
 





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